社会人は翻訳の仕事を自分から探しに行かない方が良い理由
今回は翻訳に関する話です。
学生でも翻訳者になることはできます。
しかし、専門家にしか理解できない内容は、専門家にしか翻訳できません。
ある分野の専門家が、素人には翻訳できない高レートの案件を受けるにはどうすればいいでしょうか。
目次
社会人は翻訳の仕事を自分から探しに行かない方が良い理由
翻訳は学生でもできると先日書きました(下の関連記事)
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学生のうちから翻訳で稼いでいれば、最初はレートが悪くても、いずれ翻訳の経験が長くなって、レートが高い仕事も受けられるようになってくるはずです。
しかし、これまで翻訳とは無関係の仕事をしてきた社会人が翻訳の仕事を始める場合、すぐに高レートの仕事ができるようでないと困ります。
なぜなら、社会人ということは既に大人であり、家賃とか食費とか出ていくお金があるので、今すぐたくさん稼ぎたいからです。
そこで今回は、翻訳とは無関係の仕事をしてきた社会人が、効率よく稼ぐにはどうすればいいか、解説します。
自ら応募してトライアルを受けるのは効率が悪い理由
最初に、翻訳の経験が無い(少ない)間は、以下のやり方は効率が悪いという話をします。
- 翻訳会社のWebサイトから募集要項に従って応募
- 翻訳案件の募集をまとめているサイトから応募先を選んで応募
理由を順に書きます。
応募資格を満たせない/書類選考で落ちる
まず、応募資格を満たせないことがよくあります。
よくある条件は、翻訳経験X年以上、というもので、この場合は翻訳を始めたばかりの人は応募できません。
それから、翻訳専業に限るというもので、この場合は翻訳を副業で始めた人は応募できません。
応募資格を満たした場合でも、書類選考で落ちることがよくあります。
理由はいろいろありますが、一つ挙げるならば、得意分野のミスマッチです。
募集要項に合わせて履歴書を書き換えて、案件の分野が自分の得意分野であるように強調して書いて送ったにも関わらず、残念ながら信じてもらえなかったというパターンです。
つまり、「その職歴と学歴で、これが得意分野なわけがないでしょう」とみなされて却下されるわけです。
特に外国の翻訳会社は大学での専攻も重視する傾向があります。(ISO 17100に準拠するために卒業証書をスキャンして送るように言う会社もあります)
トライアルを実施するということは、相手は人的リソース(時間、つまりお金)を使って評価しないといけないので、当然、書類選考には慎重になります。
せっかくトライアルに合格してもレートが悪い
なんとか書類選考を通ってトライアルが送られてきたとしましょう。
通常、この時点で翻訳のレートが決められていることはあまりありません。
自分から応募している以上、こちらの立場が弱いので、トライアルを受ける前にレートについて聞くのも困難です。
(聞けば教えてくれるという場合もあるとは思いますが)
だから、せっかくトライアルに合格できたのに、後で聞かされたレートが悪すぎて仕事を受ける気にならないことが良くあります。
これって自分にとっても相手にとっても効率が悪すぎです。
さらに言うと、レートが良くて契約が済んで登録が完了したとしても、その後、仕事が来るとは限らないという問題もあります。
理由はいろいろ考えられますが、一番多いのは、翻訳会社が案件もないのにとりあえず募集して翻訳者の確保だけはしておきたいというケースです。
仕事が取れたら送るというスタンスなので、その時になるまでは仕事が送られてきません。
自分宛てに届いた案件だけを吟味すると効率が良い
前置きが長くなりましたが本題です。
翻訳とは無関係の仕事をしてきた社会人がこれから翻訳の仕事を始めるのであれば、受け身のマーケティングが有効です。
具体的には、Prozなどの翻訳者登録サイトに登録して、自分宛てに送られてきた案件に対してのみ応じるようにします。
もちろん、履歴書や職務経歴書、いずれは翻訳サンプルも、しっかりとしたものを上げておかないと、まともな案件は来ません。
ただし、不特定多数に一斉に送り付けたとしか思えない依頼はすべて無視します。多くは低レートです。
(これはインドの会社に多い傾向がありますが、中にはインドの会社でも高レートで良心的な会社もあります)
最初から案件の分野が詳しく書いてあって、「あなたの経歴を見た。こういう案件だから、ぜひあなたにお願いしたい」といった内容の依頼だけ扱うようにします。
サンプルテストを受ける前にレートを聞ける
このやり方だと、相手から自分に連絡が来ている以上、自分の立場が弱くはないので、翻訳レートが書かれていない場合は、この時点で聞けます。
(あるいは希望レートを聞かれるので、素直に希望のレートを伝えます)
サンプルテスト(実際の仕事に類似した内容のテスト)を開始する前にレートを聞いて、低レートだったらすぐに丁重にお断りすればいいので、お互い、時間を無駄にすることがありません。
契約締結後すぐに仕事が来る可能性が高い
こういった、具体的に依頼先を絞り込んで連絡してくる案件の場合、仕事ありきで探しているはずです。
サンプルがあるということは、特定のクライアントから特定の仕事の話が既に翻訳会社には来ているはずです。
だから、サンプルテストの結果が高品質でクライアントがOKを出せば、すぐにでも仕事が来ます。
このパターンで仕事が決まる場合、ボリュームも大きいことが多く、いきなり数ヵ月分以上の仕事をフルタイムでこなすことになったりします。
つまり収入が安定します。
まとめ
社会人になってすぐ翻訳の仕事を始める場合は、少なくとも100社宛に応募した方がいいと言われていますが、社会人としての経験が既にある場合は、その戦略は無駄に疲れるので得策ではありません。
自分の翻訳の質を上げることに時間を費やしつつ、待ちの戦略で良質な案件のみ取り組むようにするのが得策です。
いずれの方法でも、経験を積めば良質の会社と信頼関係ができて、安定して受注し続けることができるようになることには変わりありません。
最初の段階で苦労して脱落するのはもったいないので、時間は有効に使いたいところです。
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