翻訳者が遭遇する代表的な問題に対し事前に対策を取るべし

今回は翻訳についての話です。

 

昨日はハロウィンでしたが、ProZのコミュニティ(Facebookページ)にて、翻訳者たちの間で過去の悪夢について話題になっていました。

過去の失敗がどれほど怖かったかという話でしたが、どの国にいる翻訳者も似たようなトラブルに遭遇していると感じました。

私自身の失敗談も踏まえ、よくあるトラブルとその対策について整理してみました。

翻訳者が遭遇する代表的な問題に対し事前に対策を取るべし

事前に取れる対策の中には、例えばデータのバックアップのように、仕組みさえ構築しておけば充分な対策になるものがあります。

一方、予めアクションを取ることが難しくても、発生した時に慌てないようにするために、心構えだけは事前にしておいた方がよいものがあります。

後者に関しても、プロセスを文書化しておくと、より効果的かもしれません。

インフラの障害

ここでいうインフラとは、電気・ガス・水道やインターネット回線のことです。

日本に住んでいればあまり気にしなくてもよい問題と考えがちですが、温暖化の影響で今後は大型台風が毎年発生するでしょうから、そうも言ってられなくなってきました。

そして海外では、もっと頻繁に停電になったりする場所もあります。

突然の停電

停電になっても、ノートPCであればバッテリーが切れるまでは使用可能です。

少なくともメインPCかサブPCのどちらかはノートPCにしておくのが重要な対策の一つです。

そして、いざ停電になった時に充電がされてないと困るので、特に新興国に住む場合は、サブPCであっても毎月一度ぐらいは充電した方がいいでしょう。

忘れないようにGoogleカレンダーなどに定期的な予定としてリマインダーを設定しておき、そのタイミングでWindows Updateもついでにやると良いかもしれません。

日本にいる場合は、台風が近づいてくるというニュースを見てから充電すれば通常は大丈夫かと思います。

 

それから、ノートPCの明かりだけで書籍や紙の辞書を読んだりすれば目が悪くなるので、停電時の明かりも事前に用意しておきます。

例えば私は以下のような充電式ランタンを使っています。

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突然ネットにつながらくなった

予告もなくいきなりインターネットが使えなくなることは「新興国あるある」の一つで、バックアップ回線を用意しておくことが必須です。

光ファイバー回線などプロバイダがダウンした時は、モバイルインターネットをバックアップ回線として使います。

テザリングにより、スマホなどを介してパソコンでインターネットにつながるようにします。

 

デュアルSIMのスマホが主流になりつつあるので、携帯電話の回線も2つ用意しておくのが無難です。

例えばフィリピンだったらSMARTとGlobeという2つのキャリアのプリペイドSIMをスマホに入れておいて、普段は着信とSMS受信だけで使うようにすればほとんどお金はかかりません。

そしてプロバイダがダウンした時だけ、1日プランとか3日プランなどのモバイルインターネットのプランに申し込んで使います。SMS送信等の手段ですぐに使えるようになります。

関連記事:
インターネット回線のバックアップを常に用意

パソコンのトラブル

パソコンに関するトラブルもまた、代表的なトラブルの一つです。

翻訳者の中には、私のように元ITエンジニアもいる一方で、機械音痴の翻訳者も大勢います。

物理的な故障

物理的な故障の場合、基本的には交換で対応できます。

しかしハードディスク/SSDの故障の場合はデータが消失するリスクが高く、事前にできる対策として多重バックアップが重要になります。

関連記事:
予備PCもよく使う人向けのバックアップ運用方法

CATツールのトラブル

CATツール、つまりTradosやmemoQなどの翻訳支援ソフトは日々進化していますが、それでも時々予期せぬエラーが出て困ることがあります。

パソコンに詳しい人はエラーメッセージを解読して、それが見た目だけの問題なのか、あるいはデータが保存されていないなどの深刻な問題なのか、そうであればどのパッケージを再インストールした方がよいか、などが分かったりします。

見ただけで分からなくても検索して調べて自分で解決できることが普通ですが、あまりパソコンに詳しくない人はこれが苦痛になり得るので、有料でも保守契約を結んでおいた方がよいかもしれません。

自分のミス

3つ目の大カテゴリとしては自分自身のミスから生じるトラブルです。

これに関しては何が発生するか、影響は多岐に渡りますが、代表的な物を2つ挙げてみました。

ダブルブッキング

他の仕事が既に入っているのに、スケジュールを見間違えたなどの理由で、別の仕事を同日に入れてしまうと、大変苦労することになります。

あるいは、どうしてもはずせないプライベートな事情がある日なのに仕事を入れてしまうこともあり得ます。

事前にできる対策としては、自分に合ったツールで正確にスケジュール管理することです(例えばGoogleカレンダー, さいすけ, MS Project, etc.を使用)

上に書いた2つ目の問題を回避するためには、特にフリーランスの場合は仕事とプライベートの予定を一つのツールで一元管理した方が良いかもしれません。

それでもダブルブッキングしてしまったら…特に翻訳会社からの依頼であれば、できるだけ早く相談すれば何とかなることもあります。(納期厳守の案件でも、他の翻訳者に振り替えてもらえることもある)

駄目だったら徹夜してでも終わらせるしかありません。

厄介な仕事の受注

自分にできない、あるいは苦手な仕事を引き受けてしまうと、当然、後で苦労します。

誰もが苦手とする内容であれば、レートを少し上げてもらうなどの交渉も可能ですが、いずれにせよ、引き受ける前に原文をきちんと確認することを徹底するのが一番よい対策です。

一般に、注意が必要な原文のタイプについて2つ例を挙げてみました。

パワーポイント(PPT)文書

パワーポイントはレイアウトが固定されているので、そのレイアウトを崩さないようにするという技術が必要になってきます。

やり方が分かっていても苦労させられることがあります。

翻訳した結果、文字数が元の文より長くなってしまうことがありますが、元々の文字サイズが小さいと、さらにフォントサイズを小さくして対処することが困難です。

また、埋め込まれた画像の中に文章がある場合も、PPTファイルだと画像サイズを大きくするわけにはいきません。

つまり、翻訳とは関係ないところで苦労させられることになる場合が多いのです。

スキャンして作成されたPDF文書

PDF文書の場合、原文の文字を選択&コピーできるファイル、あるいはOCR処理を普通にかけるだけでテキストとして取り出せるようになるファイルであれば問題ありません。

その場合はWord形式に変換してCATツールで処理することも可能です。

気を付けないといけないのは、OCR処理が簡単には成功しない場合です。

具体的には、PDF文書の中に表があって、その中に(数字だけではなくて)文章や文言が入っていて、それも訳さないといけない場合。

それから、文章のレイアウトが2段組みになっている場合。

これらの場合も、表のOCR機能などを備えたソフトを使えばできなくはないのですが、いずれにしても翻訳に取り掛かるまでの手作業で時間を取られることになるので要注意です。

まとめ

失敗から学ぶと人間は成長します。

自分の失敗であれば根本原因を探り当てて、再発防止策を確立して実行していけばいいのですが、他人の失敗を参考にして一時対策だけでも取り入れていくこともまた有効です。

 

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