翻訳業界は以前にも増して実力社会、日本に居住する必要なし
フリーランス翻訳者として仕事をする上で、日本に住んでいないと不都合があると、聞いたことがある人もいるかもしれません。
過去には不都合もあったかもしれませんが、今はほぼ不都合はありません。
その理由を説明します。
目次
翻訳業界は以前にも増して実力社会、日本に居住する必要なし
最初に結論を書くと、フリーランス翻訳者が働く場所は別に日本でなくて構いません。
ただし、「問題ない」とは言っても、「不都合が全く無い」とは言い切れないので、まずは、どんな不都合があり得るか紹介します。
その後で、担当者とのやり取りに関する最近の傾向について少し紹介します。
日本に居ないと不都合になり得るケース
日本国外の顧客のみを相手にすれば、不都合は全く無いと言えます。
しかし、日本国内の会社とやり取りしないというのは、選択肢を狭めることになります。
以下、日本国内の会社と契約する場合に起こり得る不都合を二つ挙げてみました。
文書等の郵送の必要性
最近、字幕翻訳の勉強のために、映画の字幕翻訳に関する本を読みまくっています(古い書籍も含め)。
それで知ったのですが、少なくとも映画の場合は文書やDVD-ROMなどのメディアを郵送し合ったり、先方に訪問してレビューを一緒に行ったりする必要があったようです。
今も同様なのかどうか、調べ切れていませんが、映画の字幕翻訳の場合は日本に居ないと厳しい状況が今でもあるかもしれません。
尚、ごくまれに、産業翻訳や特許翻訳であっても、フリーランスの契約でも、トライアル合格後、登録前に一度面談を希望する企業もあります。
応募要項に書いてるはずであり、こういった企業はごく一部なので避けるようにすれば問題ないでしょう。
日本の銀行口座
日本企業の中には、海外送金での支払いに対応せず、日本の銀行口座への振り込みだけに対応する翻訳会社もあるようです。
対策としては、海外移住しても日本の銀行口座(の一部)は解約せずにキープしておけばいいでしょう。
UFJやソニー銀行など、役所で転出届を出して住民票を抜く場合でも口座を保持し続けられる銀行がいくつかあります。
文書のやり取りは全てネットで
フリーランスは以前にも増して完全に実力社会です。
性別や年齢や人種や宗教はもちろん、どこに住んでいるのか、既婚なのか、子供はいるのか、などなど、全く関係なしに、仕事ができさえすれば問題ないという実力社会です。
逆に言うと、新人だから優しくして欲しいとか、若くてスタイルがいい女子大生だから大目に見て欲しい、などといったことは一切通用しない、厳しい社会だということです。
相手の年齢・性別は知らなくてよい
日本の企業には翻訳者の顔写真を重視するところも未だにあるようですが、海外の企業から、自分の写真を送るように言われたことは一度もありません。
通訳であれば関係あるかもしれませんが、翻訳者の場合は見た目・年齢・性別など知るだけ無駄だからでしょう。
性別に関しては注意点があり、私が過去にやってしまったミスを紹介します。
ヨーロッパにある、とある企業とメールでやり取りを始めた際、顧客の担当者をファーストネームで呼び捨てにするのは気が引けたので、姓(ラストネーム)にMr.をつけるようにしました。
何度もメールでやり取りをして実ジョブも受けるようになった後になって初めて、実は相手が女性であることが発覚しました。
(先方の休暇中の引継ぎで第三者が登場した際、she/herという言い方をしていて発覚)
驚いて、全世界の名前と性別を紐づけるサイトを検索して見つけて、調べてみたら確かに女性の名前だったことが分かり、「やってしまった」と少なからずショックを受けました。
過去の知り合い(男)と同じ名前(または相性)だから間違いないだろう、みたいな判断は危険だということが分かりました。
この件について相手から指摘されたことは無かったのですが、さりげなく次回からメールの一行目は「Dear ファーストネーム」に変えました…
そんなこともあったので、以降は、他の会社も含め、誰であろうと「Dear ファーストネーム」に統一しています。
名前から相手の性別が判断できないのはお互い様であり、グローバル社会では普通の話なので、マナー的にもこれで問題ないと考えています。
電子署名の普及
翻訳者として顧客と契約する際、NDA(秘密保持契約書)など、どうしてもサインして送り返さないといけない書類が存在します。
しかし、だからと言って郵送しないといけないわけではありません。
多くの場合、PDF形式でメールで送られてきた文書を印刷してボールペンでサインした後、複合機などを使って(なければコンビニなどで)スキャンしてPDF形式にして送り返します。
なんとなく気分的にサインした文書は原本でないといけないような気がしたのですが、少なくとも最近はそんなことはないようです。
また、先方から送られてきたNDAなどのPDFファイルが電子署名できるようになっている場合もあり、その場合は同じファイルをタブレットでAdobeリーダーで開いて指でサインするなりして保存するだけです。印刷とかスキャンする必要はありません。
尚、最近の字幕翻訳の傾向ですが、物理的に物を郵送しないといけないことはまず無いと考えてよさそうです。
フリーランス翻訳者に求められるゲーム翻訳の字幕翻訳は、既に翻訳者が翻訳の実作業に取り掛かれるようになっています。
映像にはインターネットを介してアクセスできるようになっていて、台本も用意されているわけです。
つまり、全てパソコン上で完了するので、どこに住んでいても関係ありません。
まとめ
フリーランス翻訳者は日本に居なくても、つまりどこに住んでいても仕事に不都合が出ることはまずありません。
日本語と、英語(あるいは他の言語)との翻訳の仕事を、日本の企業しか扱っていないわけでは決してありません。
実際に私がそうしているのですが、英日の翻訳を、海外の企業だけから受けることで稼ぐことが普通に可能です。
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